学生の皆さん、教職員の皆さん、新年おめでとうございます。
と書き出してはみましたが、新型コロナウイルスのオミクロン株が国内でも広がり始めましたので、「おめでとう」という言葉を口にするのも憚られる状況です。1月7日には、新潟県内でもオミクロン株への感染者が確認されました。オミクロン株の感染力の強さと年末年始の人出の多さが重なって、感染者数はますます増加していくのではないかとみられていますので、心配です。オミクロン株は弱毒化しているという情報も流れていますが、しかし、重症化の割合は減っているものの重症化の事例がないわけではありませんので、マスクの着用、三密を避けること、手指の消毒などはぜひ続けてください。
1月9日から31日まで「まん延防止等重点措置」が、沖縄、広島、山口の三県で適用されています。この期間中には、大学入学共通テストも実施されます。本学も会場となります。これから大学へ進学する受験生の皆さんが公平・公正に受験できるように対応したいと思いますが、もし問題が起こった場合でも、落ち着いて対応できるように教職員の皆さんと共に連携して行動するようにしたいと思います。文部科学省からは、1月7日に、基本的対処方針として、「学生の学修機会の確保と、新型コロナウイルス感染症への対策の徹底の両立」を図るように指示が出ています。
さて、今回のメッセージのタイトルには、小林一茶の句をお借りしました。一茶は、現在の住所で言えば長野県信濃町柏原の出身なので、上越からそう遠くはありません。柏原には一茶記念館もあります。皆さんも訪れたことがあるでしょうか。
この句は、なんとなく「めでたいとも言えない正月の気分を表現しているようだな」と思い、タイトルにしようと考えたのですが、一茶が表現した内容は少し違っていて、「めでたいとはいっても、いいかげんなものだ。私の正月はそんなものだ」と言いつつ、そのいいかげんさを肯定している句のようです。この句の前には、まえがきがあり、周到に準備して正月を迎えるお坊さんの話が記されています。ちなみに、「ちう位」とは「中位」ということですが、信州の方言では、「いいかげん」という意味もあるそうです。
私は上越教育大学に着任してから、二十数年になりますが、正月はほとんど実家には戻っていません。本学にかぎらず、大学では、1月はまだ後期の途中になりますので、年が改まったという感じがあまりしないのです(4学期制の大学は事情が違うかもしれません)。これまで修士論文の提出が1月10日に設定されてきたということも影響しているかもしれません。最後まで頑張ろうとする院生さんにとっては、年末年始は追い込み期間になるからです。そんな私自身の体験も、私が一茶のこの句に惹かれる原因なのかもしれません。
とはいえ、日本文化の中で元旦が大きな節目であることにはちがいありません。卒業・修了を迎える学生さんは、入学時の初心を思い出して、やり残したことがないかどうか確認してみてください。卒業・修了までにまだできることがあるかもしれません。
学生の皆さんの意識にはあまり上らないと思うのですが、国立大学は、法人化以降、6年を一つのくくりとして、中期目標・中期計画を立ててそれを実行してきました。令和4年度からは第4期の6年間が始まります。4月から始まるとはいえ、その準備はすでに始まっています。私も、いいかげんな正月気分はほどほどに、計画の実行に向けて、まい進していきたいと思います。
令和4年1月
学長 林 泰成
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