この3年間は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、私たちの生活は大きく制限されました。そうした中で、学業生活を終え、今、次のステージへと向かおうとしている卒業生・修了生の皆さん、ご卒業・ご修了まことにおめでとうございます。
教職員も、制限のかかった中で精いっぱい努力してきたつもりではありますが、至らない部分もあったのではないかと思っています。お詫び申し上げますとともに、皆様の門出を祝い、エールを送りたいと思います。
この3年間の体験を通して、学校教育は大きく変化しました。その一つは、授業のDX化が一気に進んだことです。本学においても、オンライン授業や、オンデマンド授業が実施されました。また、そうした授業を行うことと連動して、最初は、たくさんの課題が提示され、「課題が多すぎて対処できない」という学生さんの声が私の耳にも届きました。有無を言わさない状況で、オンライン授業などが導入されたことで、私たち教員も、戸惑い、私自身も、「課題を出さないと十分な学習を保障できないのではないか」と考えました。そう考えた教員が大勢いたのでしょう。結果として、学生の皆さんが、たくさんの課題に追われることになったように思います。しかし、この3年間も、本学の教員就職率は高い数値を誇っています。杞憂であったのかもしれません。
さて、皆さんの多くは、教職に就くものと思います。5月8日からは、新型コロナウイルス感染症も、感染症法上の位置づけとしては、季節性インフルエンザと同じ5類に分類されることになっています。学校現場にも、日常の生活が戻ってくるでしょう。そうした中で、皆さんは、本学での学びを、今度は実際の教育に応用するということになります。
現場に出たときに、大切にしていただきたいのは、謙虚であるということです。皆さんは、学校教育の中で、そして本学において、たくさんのことを学んだと思いますが、職に就いて後の長い経験から学ぶべきことも多々あります。けっして驕ることなく、人の話に耳を傾け、謙虚な態度で仕事に励んでいただきたいのです。謙虚であるということは、しかし、自己を卑下するということとは違います。過度に自己を貶める必要はないのです。「我以外皆我師」(これは小説家・吉川英治の言葉です)というような心持ちで、人に接すれば、自ずと謙虚な態度がとれるのではないかと思います。
これからもずっと上越教育大学は、皆さんを応援します(現職教員向けの研修資料などもさまざまな形で提供していく予定です)。
令和5年3月15日
学長 林 泰成
サイトマップを開く