教科内容構成コース
教科内容構成コースは、「国語」「英語」「社会」「数学」「理科」「音楽」「美術」「保健体育」「技術」「家庭」の10の領域で構成されています。
国語
私たちは日本語をもちいて、表現し、理解し、伝達し合っています。すなわち、国語はすべての学びの基礎といっても良いでしょう。加えて、言語芸術としての文学の領域など、それ自体が大切な文化であるともいえます。それらを学校教育において担うのが、「国語」です。教科内容構成コース「国語」では、国語学・国文学・書写書道・国語科教育の各専門領域にわたって学力を確実に身に付けるとともに、子どもたちのことばの学びが生き生きしてまた深いものであるよう導く力を養います。
国語学では、日本語の音声や語彙、文法、文体などを取り上げて、日本語の多様な姿を地域や時代にとらわれずに幅広く学びます。
国文学では、代表的な古典文学の講読や演習を通じて、古典を深く理解する方法を学びます。また、近代の文学作品を読みとく方法やその意義・面白さを理解する授業があります。漢文学では、思想・史伝・詩文関係の資料の講読を行う授業を用意しています。
書写書道では、筆記具の持ち方から、なぜ筆順を覚えるのか、どうしたら字がきれいになるのかといった内容理論を学び、子どもたちが楽しく字が書けるよう導くための学習方法などについて扱います。
国語科教育では、国語科教育の目標・教材・学習指導法など、多角的な視点からその原理と実践について検討することを通じて、国語科教育の全体像の把握ができるような授業が組まれています。
これらを通して、教育現場で国語の学びをリードしていく教師になってもらえるよう、ともに研鑽していきたいと思っています。
英語
『英語』は、小学校・中学校・高等学校における英語教育を担う実践力のある教員を養成することを目的としています。
そのために、英語および英米文化、あるいは広く異文化に興味を持ち、学習意欲の旺盛な人を歓迎します。そのような学生を受け入れて、英語によるコミュニケーション能力を育成するとともに、英語科教育、小学校英語教育、英語学及び異文化コミュニケーションに関する理論的・実践的な研究を指導します。
英語科教育では、英語科教育の理論と方法、教材、評価方法、言語習得、実践的な英語コミュニケーションなどについて、多角的な視点から学びます。小学校英語教育では、外国語活動・外国語科について発達段階に対応した授業設計・実践・改善方法等について学びます。CLIL(内容言語統合型学習)等の最近の指導理論についても学びます。英語学では、英語の音声や文法について基本的事項を学習する授業や、英語または第二言語英語の個別のテーマについて掘り下げて検討を行う授業があります。異文化コミュニケーションでは、社会のグローバル化に対応し、多文化共生を支援し、異文化理解マインドを持った人材育成を目指しています。また、英語文学の授業では、英語文化圏における小説などを楽しむことができます。
本学では、LL教室とマルチメディア語学教室での授業や、外国人教師による授業も取り入れられており、多様で充実した学習が可能です。
社会
学校での教育実践のなかでも、社会科(地理歴史科・公民科)という教科で現在求められている授業を行うために必要な人文科学・社会科学・自然科学及び社会科教育(地理教育・歴史教育・公民教育)の諸領域について総合的・専門的な研究・教育を行います。この目的を達成するために、(1)社会認識の地理的多様性を識るとともに歴史的変遷の跡をたどること、(2)社会構造を明らかにすること、(3)これらの研究成果を教育実践に有機的に関連づけること、を重視しています。
1年次では人間教育学関連科目の学習が中心となりますが、2年次からは、地理学、歴史学、法律学、政治学、経済学、社会学、哲学、倫理学、宗教学、社会科教育の講義や実験の履修が始まります。さらに、3年次からは多数の専門科目や専門セミナーの科目が開講されます。具体的には、地理学、歴史学、法律学、政治学、経済学、宗教学、社会科教育の講義及び文献講読が開講されると共に、卒業研究へ向けての各分野の専門セミナーが始まります。専門セミナーは4年次にも開講され、2年間にわたって、きめの細かい指導を受け、卒業論文を作成することになります。
また、野外に出て実践的な調査法を学ぶ地域調査法が地理学、歴史学にそれぞれ開講されていることに加え、地域の学校で活躍する社会科の先生らと連携した研究・教育活動が学内外で活発になされていることも本領域の特徴です。
このような学修の結果、コースのほとんどの学生が、小学校免許に加えて中学校の社会並びに高等学校の地理歴史科・公民科の免許も取得し、社会科という幅広い教科教育実践が得意な「学校の先生」として活躍しています。
以上のように、『社会』では各分野の専門性を保ちながらも、その学際性を生かすことに留意し、意欲のある学生を心から待っています。
数学
『数学』は、数学や数学的な考え方に興味をもち、それを発展させて、教育に生かしてみたいと思う人のためにあります。小学校の算数教育の中心的な存在になれるような教員の養成、中学校及び高等学校の数学科を担当できる教員をも養成することを目的としています。
『数学』には、代数学、幾何学、解析学、確率論・統計学、コンピュータ、数学科教育の6つの領域があります。それぞれの領域における講義内容の主な特徴は次のとおりです。
代数学、幾何学、解析学、確率論・統計学の領域では、それぞれに対応する現代数学の初歩的内容とその基本的な考え方を講義します。コンピュータの領域では、初歩的なプログラミングの実習を行い、コンピュータの仕組みやその限界について体験的に学ぶ機会を提供します。数学科教育の領域では、算数・数学の教材分析や授業分析などを通して、その背景にある算数・数学教育の理論や指導法について講義します。
3年次から開始される専門セミナーIにおいて、学生は各教員に2、3名ずつに分かれて、数学(代数学、幾何学、解析学)や数学教育学のゼミを行います。これは4年次の専門セミナーIIへと引き継がれ、卒業研究へと発展するものです。数学のゼミでは、主に数学の専門書を人間が考え出したものとして読み解き、それを発表し合います。これを通して算数・数学を教えるときに大切な人間の活動としての生きた数学やその奥深さを体験的に学びます。数学教育学のゼミでは、例えば、算数・数学教育の一つの教材について深く調べたり、その背景にある数学や教育思想について考えたり、あるいは、実際の授業や子どもの活動の様子を分析したことを発表し合います。
これまで数多くの卒業生が、全国各地の小中学校の教員として活躍しています。最近では、本学大学院に進学し、より高い実践力を身につけて教職に就く人も増えてきました。また、数学の知識を生かして企業に就職する人もいます。
理科
『理科』は、自然科学に関して広い視野と深い素養を持ち、学校現場において実践力のある教師を育成することを目標としています。自然に興味・関心をもち、観察や実験が大好きな人や、将来、理科の楽しさを子どもたちに伝えていきたい人を歓迎します。
『理科』は、「理科教育学」、「物理学」、「化学」、「生物学」、「地学」の5つの領域で構成されています。各領域では、関連した教材研究や指導法、および専門的な研究を行っています。
2年次に『理科』に所属すると、各領域の講義と実験の履修が始まります。特に、観察や実験の授業は、本を読むなどの独力では学ぶことのできない貴重な体験となります。3年次からは、各研究室に数名ずつ所属し、専門セミナーを受講しながら卒業研究をまとめることになります。3・4年次にわたって卒業研究を行い、理科の課題発見・解決のプロセスを実体験することにより、理科教師が備えるべき科学的素養を身につけることができます。
いま、小・中学校では、資質・能力を育てるとともに、各教科の特質に応じた“見方・考え方”を働かせる能力が重視されています。では、理科の“見方・考え方”を働かせるとはどのような意味なのでしょうか?『理科』に所属し、学びを深めることで、その意味が自ずと理解できるようになります。また、子どもたちが“理科の見方・考え方を働かせる”ための指導方法を修得することができます。
理科で扱う内容は、日常の生活や社会の中でも役立ちます。理科は決して難しい教科ではなく、充分な観察や実験を通して勉強すると、とても分かりやすい教科です。
音楽
『音楽』では、自ら音楽に興味を持ち、それをさらに発展させて教育の場に生かそうとする意欲を持っている人を歓迎します。
『音楽』には、声楽、器楽、作曲、音楽学、音楽科教育についての授業があります。具体的には、ソルフェージュ、指揮法、合奏、合唱、作曲、声楽、音楽史、ピアノ・管楽器の基礎や表現法を学ぶ授業、日本の伝統音楽や世界の諸民族の音楽と文化について学ぶ授業、初等・中等音楽科指導法などの講義や演習が開講されています。
『音楽』の特徴には、次の点があります。
- 様々な専門の教員による指導体制が充実しているので、音楽の実技・理論の両面にわたって、また、幅広い時代と地域の音楽について専門的に学ぶことができます。
- 合唱のように、学年を越えて、合同で行われる授業もあります。
- 箏、三味線、尺八、篠笛、太鼓など各種和楽器に加えて、バリ・ガムランのセットが一式そろえられ、これらの楽器を使って、日本の伝統音楽や世界の諸民族の音楽について、幅広く学ぶことができます。
- 3・4年次の専門セミナーの授業では、学生の希望に応じた研究内容に即して個人指導又はゼミナール形式で行う専門性の高い研究の場が提供されています。これらの授業は、卒業演奏会や卒業論文へと発展します。
- 音楽劇創作演習では、台本・作曲・演奏・演技をはじめとして、舞台制作に関わる部分も含めた授業が行われ、本学講堂を舞台に、学生による自作自演の音楽劇を毎年上演しています。
- また、吹奏楽、合唱、弦楽合奏、ガムラン、箏曲など多様な音楽の課外活動も活発で、定期演奏会の他、地域との積極的な交流演奏会を行っています。
『音楽』の学生は、入学時までの音楽体験の多少にかかわらず卒業する頃には見違えるほどの力がついてきます。また、卒業生は、本学大学院に進学する人、小学校、中学校、高等学校で教職に就く人を主として、音楽の専門分野、音楽関連企業など多方面で活躍しています。
美術
『美術』は、絵画、彫刻、デザイン、工芸、美術史・美術理論の専門領域と、美術科教育を通して、人間と美術と教育のかかわりについて学んでいく領域です。
『美術』では、カリキュラムを通して、デッサン、水彩画、油彩画、版画、テンペラ画、日本画、フレスコ画、塑造、テラコッタ、木彫、石彫、グラフィックデザイン、イラストレーション、写真、プロダクトデザイン、アニメーション、絵本、木工芸、陶芸、ガラス、金工、美術史、美術理論、制作論、美術館教育など、美術と教育に関する多様なテーマで研究を進めることができます。また、美術館での作品鑑賞、作家や工房を訪れる研修、子ども達とのワークショップなど、学外や地域と連携した活動も行われています。
『美術』の学生は、一人ひとりの意向を尊重した専門セミナーにおける個人指導のもとに、恵まれた施設及び設備を使って学ぶことができます。高等学校で美術を履修していない場合でも授業を通して各種の展覧会や発表で、自分自身の表現を身につけることもできます。それは、自分の自信になるだけでなく、教師としての資質も高められ、教職の場でも大いに生かされるでしょう。
学校教育における美術・図画工作は、子どもたち一人ひとりの表現の意味と価値を認める大切な教科です。作品をつくったり、見たり、話したりすることの大好きな子どもたちを育てていくために、教材研究、指導法など子どもの学びの姿をもとに、学部学生と大学院生と教員が共に研究を深めていきます。
卒業生は、小学校、中学校、高等学校の教職だけでなく、美術館などの社会教育機関、美術の専門分野、美術関連企業など、多方面にわたって活躍しています。また、大学院に進学し、さらに研究を深めることもできます。
保健体育
『保健体育』は、将来、小学校における体育指導の中心的存在として、あるいは、中学校または高等学校の体育・保健教科を担当できる専門的資質をもった教員の育成をめざしています。
児童・生徒の活発な屋内外の遊びや運動は、運動能力、体力、体格の発達を促し、健康の保持増進に資するとともに、人間的な成長にとって極めて大切な情緒の安定、自己統制力、他者を理解し思いやる心などを育むことと深い関わりがあります。児童・生徒の人間的な成長や発達、人々の健康の保持増進を願う指導者にとって重要となる課題は、健康や運動についての正しい理解と適切な方法を修得し、実際の指導に結びつけていくことです。
『保健体育』は、運動や健康に興味関心を持ち、児童・生徒の人間的な成長や発達、人々の幸福のために尽力しようとする人、さらには運動の意義や価値を人間の立場から探求することに興味のある人、また、自らも運動実践に興味を持つ人を歓迎します。
『保健体育』では、専門科目の学修や研究を通して、学術的な運動の原理、健康の意味、体育の指導について理解を深めることを目標にしています。
技術
『技術』では、生活に役立つ製品の創造・開発、コンピュータの基本的構成・操作、情報活用能力と技術を身につけ、それらを生活や社会に生かせる能力を持った生徒を育てる教員の養成をめざします。この目標のため、『技術』では、次の7つの学問に関して授業科目を用意しています。さらに、3年次から専門セミナーを受講し、専門的な知識を身に付け、卒業研究に取り組むことで実践力を養います。各学問の主な内容は次のとおりです。
技術科教育学では、「材料と加工の技術」、「生物育成の技術」、「エネルギー変換の技術」、「情報の技術」に関する教育が、全人的な陶冶と感性を発達させ、工夫・創造能力を育むために不可欠であることを学びます。技術科のカリキュラムづくり、教材研究論などを学び、技術科教員として必要な基礎的・基本的実践力を養います。
木材加工学では、木材の性質・特徴を理解し、木材を生活に役立つ製作品(例えば、本立て、椅子)に仕上げるための基礎的な知識と技術を習得します。手加工では、さしがね、平かんな、両刃のこぎり、げんのうなどの工具を使用し、機械加工では、帯のこ盤、自動かんな盤、丸のこ盤などを使用します。これらの実習では、安全を保持する態度も育てます。
金属加工学では、「金属加工法」で中学技術科での指導に必要とされる金属加工の基礎事項を学習し、これに必要な知識・技術の習得を図ります。
電気・電子工学では、日常なにげなく利用している電気に対する認識を再確認することから始まり、そのために電気工学、電気回路、電子工学などの基礎を学んだ後、それらを応用した電気・電子回路の製作実習や特性測定などを通じて、電気・電子工学の基礎理論から応用技術までのアウトラインを学びます。
機械工学では、ものづくりの基本である機械部品・機構の設計プロセス、材料選択、強度計算、製作法などを学習します。3年次で機械工学実習を行い、手動機械の操作およびものづくりの喜びを体得します。また、コンピュータを駆使し設計・製図を行うCAD及びそれをもとに工作機械を操作するCAMの技術を習得し、メカトロニクス(機械工学と電子工学が融合した技術)の基礎知識を身につけます。
情報工学では、1年次に行われる情報教育関連科目の理解をさらに深めるため、コンピュータの構成と動作原理、プログラミング技術、情報メディアの活用、インターネットの仕組みと構成機器などを学習します。これらに関する講義と演習によって、情報工学の基礎理論から応用技術を修得し、社会や生活における課題を情報工学で解決する方法を体験的に学びます。
栽培学では、畑や室内で栽培植物を育成する実践的指導力を身に付け、動物の飼育技術と作物・水産生物の栽培技術の探究活動を通して、生物育成環境の調節方法などの最適化を図る基礎的な技術を学習します。
家庭
『家庭』では、生活について自然・社会・人文科学などの立場から総合的に学び、社会環境の変化による複合的な生活の問題に対応できる専門的な資質・能力をもった人材を育成することをめざしています。
具体的には、家族関係学、生活経営学(家庭経済学を含む)、保育学、被服学、食物学、家庭科教育学、生活情報処理などを学び、3年次からの専門セミナーでは授業で学んだことを総合化する力をみがくとともに専門的な知識を深め、卒業研究につながるよう課題に取り組みます。教育現場では、意欲的に家庭科を担当する教員を強く望んでいます。また、『家庭』で身につけた力は、家庭科を担当する上でのみならず、小学校の生活科や小・中学校の「総合的な学習の時間」を担当する上でもいかんなく発揮されることでしょう。
卒業後の進路には、幼・小・中・高等学校の教員のほか、消費者問題や社会福祉等に関する教育や指導の道、地域活動での活躍の道などが開かれています。また、教員としての資質向上や教育実践能力の向上、あるいは専門知識・研究を深めるなどのために、本学大学院へ進学する道も開かれています。
人の生活にかかわる様々なことがらや問題に興味と関心を持ち、「学びたい」という意欲のある学生には最適な教育・研究の場です。